独自のホームページやチラシにて自社が扱っている商品を自社の言葉で丁寧にお客様にご説明する。他の業界では当たり前のこんなマーケティング上の工夫も
保険代理店業界では大変なことになります。
そう、「募集文書」の問題です。
せっかく工夫したチラシやホームページの内容が
取り扱い保険会社のチェックで変更を余儀なくされた・・・
なんてことが日常茶飯時におこります。
とは言っても、保険という商品を扱う上では避けられない募集文書。
まずは、募集文書がどういうものなのか、どのような基準でチェックされているのかということを知っておきましょう。
損害保険協会のガイドラインを読んでみよう
保険代理店が行なう保険商品の広告のチェックは、取り扱い保険会社が行なうことになり
保険会社によってチェック基準はそれぞれです。(実際、保険会社によって判断基準は少しづつ違うようです)
各保険会社のチェック基準の元になっているのは
一般社団法人日本損害保険協会の「募集文書等の表示に係るガイドライン (PDFファイル)」と考えられます。
(http://www.sonpo.or.jp/about/guideline/からダウンロードできます)
まずはこのガイドラインをひと通り読んで、
募集文書とはどのようなものなのかということを頭に入れておくと
保険会社による募集文書のチェックで長く足止めされたり、変更を指示されたりすることが少なくなるでしょう。
そもそも募集文書とは何をいうのか
では、このガイドラインでは募集文書をどのように定義しているのでしょうか。
少し長くなりますが、該当箇所を引用して見てみましょう。
3.対象
(1)本ガイドラインにいう「募集文書等」とは、保険契約の締結または保険募集のために使用する文書等をいい、具体的には、一般消費者向けの保険商品の販
売に関わる募集文書等(保険料のみや割引のみを訴求するものを含み、必ずしも紙面による文書であることを要しない。)を対象とする。ただし、保険商品名
や保険会社名のみを訴求するものについては対象としない。
なお、下記5.留意事項については、重要事項説明書(契約概要・注意喚起情報)は対象外とし、「契約概要・注意喚起情報(重要事項)に関するガイドラ
イン」の対象とする。
また、「保険証券」「満期案内状(ハガキ)」「自動継続案内状(ハガキ)」「保険約款」等については、保険商品の販売と直接的に関連しなければ募集文書等
には該当しないが、本ガイドラインの趣旨に沿って、分かりやすい表示に努めることとする。
(2)本ガイドラインにいう「マス媒体による広告」(以下「広告」という。)とは、保険商品の特徴やサービスの情報を提供することにより一般消費者の加入意
思の促進もしくは募集機会の創出のために行う広告をいい、具体的には、新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・インターネット等のマス媒体を使った一般消費者向
けの保険商品の販売促進に関わる広告を対象とする。ただし、保険商品名や保険会社名のみを訴求するものについては対象としない。
要は保険を募集するために使用する文書等が「募集文書」であり、紙の文書だけでなくホームページなども
保険を募集するために使用するとみなされれば募集文書にあたる、ということです。
逆に言えば、保険募集を行わない文書と判断される場合は募集文書に当たりませんよ・・・ということです。
募集文書に当たらない場合は、管理番号の交付や修正指導などを受けることも無い、ということになります。
募集文書の基本精神を理解しよう
このガイドラインには、募集文書の留意項目が詳しく掲載されていますのでザーッと目を通していただくと
なんとなく気をつけるべき部分が見えてくると思います。
募集文書チェックの大きな方向性としては、
4.役割・位置付け
(1)募集文書等および広告については、誤認防止と分かりやすさの観点から以下の基本精神を踏まえるとともに、それぞれの役割や位置付けを十分認識してお
くことが必要である。
・記載量は、一般消費者が読める程度の分量にする。
・内容は、一般消費者が独力でも理解できるようにする。
・構成は、図表の使用や配色・配置を工夫することにより、一般消費者の理解を促進させるようにする。
・用語・表現は、少なくとも同一の保険種目では、すべての募集文書等において同一の用語・表現に統一して表示する。
としてまとめられています。
わかりやすく、誤認されそうな表現を避け、用語の統一を図る。
ということですね。
自社でオリジナルの募集文書を作成する場合は、この精神にのっとって作成することで
お客様に本当の意味で伝わる説明が作成できるとともに、
保険会社からの修正指導を少なくすることができるでしょう。
そもそも募集が必要かということも考えましょう
ここまで募集文書について見てきましたが、
チラシやホームページに保険の募集に当たる内容が必要かどうか
という原点に立ち戻って考えることも必要でしょう。
チラシやホームページでは、リスクの喚起だけを行い、
保険の募集は実際にお会いした際に、保険会社のパンフレットなどによって行なう
という流れで営業を行なうのであれば、募集文書のチェックは不要になります。
自社の営業プロセスの中で、チラシやホームページがどのような位置づけであるのかを再確認した上で
内容を検討するようにすると、要らぬ手間や時間を取らずにすむことにもつながります。